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故きを温ね新しきを知る [ヨットデザイン]

こんにちは小さなことからコツコツとふなだいくです。

ヨットの世界だけでなく、私たちの身の回りのものは、私たち自身もふくめ時間をかけて進化(もしくは発展)してきました。

分かりやすいもので言えば車、現在でこそあの形ですが現在の姿に至るまでには、いろいろな思考錯誤があったはずです。

しかし、現在の姿があたまに焼き付いている私たちでも、車の機能ひとつひとつを理解しようとするとき、『なぜこの部分ががこの形(もしくは仕組み)でないといけないのか?』という問いに答えるのは容易くないのでは無いでしょうか?←私だけかも?

その問いにスムーズに答えるためには、先人たちの礎をかえりみてみるのが分かりやすいのではないでしょうか。

先日の記事『半漁船?』でも紹介しました"Seaworthiness 'Forgotten Factor'"よりヨットの形の移り変わりについて話をしてみたいと思います。

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こちらは、ヨットを横から見た図なのですが、その形の変化が分かりやすくイラストされています。

しかし、先ほども言いましたように、このそれぞれの進化の段階には理由があるはずなのです。

どの分野でもそうですが、常にリーディングエッジをいくカテゴリーというのはレース用のものです。そして、その技術が汎用におりてきます。

したがって、レースのレーティング基準(計算式によって導かれるハンディキャップのようなもの)によって常にレース艇の設計、最終的には汎用のヨットデザインに、良くも悪くも影響を及ぼしてきました。

時には、レーティングに有利になるために、わざと不自然な船形にする場合もありましたが、今回は船を速くするためにおこった船形の移り変わり、つまり現在でも受け入れられている考え方を紹介します。



midiship←クリックでドンッと拡大

このイラストは、19世紀後半の船のBody plan (断面図)です。

1886年までのルールでは、レーティングに影響を及ぼすファクターはL(船の長さ)とB(幅)だけでしたので、船形は細長くなり、幅が狭くなったことにより減少するRighting moment (船が傾いた時に起き上がろうとする力)を補う為にD(深さ)を大きくし船の重心を下げようとしました。

その結果、図中央A右端の船のように、まるで『茶柱が立っている』かのような船形になりました。

これは極端な例ですが、この重心を下げるというアイディアは、バルブキールのような例で現在でも支持されています。

1886年よりルールが変わり、SA(セール面積)とL(長さ)がレーティングの要素になったことにより、無駄にRighting momentを得る必要がなくなって、今度は接水面積を減らすことによってDrag(抵抗)を減らす努力がなされました。

その考えに則って、B(幅)は広くなり船の深さは浅くなっていき、前方のキールをカットするのが流行ったようです。

この考えは、現在の船形(一枚目のイラスト一番下)をみれば分かるように、今では最も重要な考えのひとつです。

しかし、この頃は現在のように実験、予測の理論が確立されていませんので、こういった発展はおおかたTry and errorによるものだったようです。

ですから、行き過ぎ、やり過ぎのデザインで、『あるところは良くなったが違うところで弊害がでる』ということも多々あったようです。



以上、今日のチラシの裏。っと(微笑)


ふなだいくでした。

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