SSブログ

自己紹介 [ごあいさつ]

こんにちは。

移転後、初エントリーとなります本日は、このブログの方向性と自己紹介をしたいと思います。

ブログ『OP便り』の方からお越しいただいた皆様は、すでに私の事および状況をご存知の方もおられるかと思いますが、このブログ『よっとでざいなーへのみち』は、日本OPヨット株式会社が管理するブログ『OP便り』の小ブログとして、イギリスからこちらのセーリング文化やヨットデザイン、セーリング理論等、主にヨットに関する話題を発信していきたいと思います。

なぜこのブログが『OP便り』の小ブログなのかと申しますと、現在私は日本OPヨットのイギリス事務所として、イギリスにて建造されていますCornish Crabberシリーズの製造元でありますCornish Crabbers LLP社やポーランドのYacht Service社ほかヨーロッパの各造船所との一切のやりとりを受け持つと共に、日本の顧客の皆様ともお付き合いをさせて頂いております。
また同時に、こちらイギリスで個人から依頼されたヨットの設計や日本オーピーヨットにて販売するヨットの設計などをしつつ、ある時はリギン屋さんで、ある時はスキッパーの依頼をうけてスーパーヨットの修理整備などのお仕事をさせて頂いております。
そういた関係で、このような形態をとらせて頂いております。

どうぞこれからも永いお付き合いを宜しくお願い申し上げます。

さて次は、私自身のヨットとの関わりを簡単に紹介させて頂きます。

幼い頃から父親に連れられてヨットに乗る機会がたくさんあったのですが、小学校1年生のときに琵琶湖のヤマハのヨットスクールに通い出してからは、むしろヨットから遠ざかろうとしていた傾向があるようです。
風が強い日等は、ディンギーのオーニングの中に隠れたりマリーナから逃げ出したりと、とても手のかかる生徒だったと記憶しています。
そんな影響もあり、小学校高学年から高校卒業まではヨットから距離を置いていました。
しかし、大阪府立大学ヨット部でスナイプに出会ってから、本格的にヨットにのめり込んでいきました。

その後、2003年末にハンブルグのボートショーに行かせて頂く機会があり、そこでたくさんのヨットやそれに関わる人々を見たときに大変感銘を受け、『もっとヨットについて勉強したい』と思い、また有り難い事に両親の助けもありイギリス行きを決意、2004年4月にはこちらにきていました。
こちらの学校は9月スタートなのですが、学生時代英語が全くと言ってよいぐらいダメだった私は、渡英した年には英語の能力が足りず希望した学校には入学できず、現在住んでいるCornwall(コーンウォール)州のFalmouth(ファルマス)という小さな町にあるでボートビルディング(造船)を一年間勉強し、2005年にUniversity of Plymouth(プリマス大学)のSchool of Engineering(工学部)Marine Sports Technology学科に入学しました。
大学では、ヨットの設計に必要なほとんどの事、たとえば造船工学を初めとして流体力学、構造力学、材料工学、航海学、デザイン、ビジネスおよびマネジメントなどを学び、在学中にはThe Royal Institute of Naval Architecture(RINA 英国造船学会)からは奨学金や、また卒業研究に対してStudent Naval Architect Award(学生造船学者賞とでも訳すのでしょうか)を、The Institute of Marine Engineering, Science&Technology(IMarEST 海洋工学、科学および科学技術学会)からは、The Prize for the Graduate with outstanding performance(最優秀学士賞)を頂き、2009年夏にFirst Class Honours(最優等学位)にて卒業させて頂きました。
このような結果を残す事が出来たのは、一重にお付き合い頂いていたお客様や友人、クラスメイトそして両親など多くの人々に力を頂いたからこそだと感謝しております。

大学時代の履修科目に付きましては一部過去のエントリーで紹介しておりますが、また機会をみて紹介していない科目や卒業研究についてもお話出来ればと考えております。

このブログを通して、イギリスのセーリングシーンや自身が関わる設計についてお話でき、また皆様との交流を通して自分自身も成長し、日本におけるセーリング文化が盛んになる一助になればうれしく思います。

どうぞこれからも宜しくお願い申し上げます。

航祐

移転してまいりました。 [ごあいさつ]

みなさん、こんにちは。

『ふなだいく』こと航祐です。

Livedoorより移転して参りました。

これ以降は、Blog『OP便り』の小ブログとしてイギリスから情報を発信していきたいと思います。

以前にエントリーした記事もあり、『OP便り』と重複している記事も有りますが、以後ぼちぼちと整理していきたいと思います。

このブログでは、ヨットデザインを学んでいた大学時代の記事もあり、また留学生として生活していた日常に起こった出来事なども記事にしています。

『OP便り』での記事と異なり、不適切な表現や『チラシの裏』的な記事もあるかもしれませんが、どうぞご容赦下さい。

また、ヨットデザインに関する記事やこちらでのセーリングライフについてもどんどん紹介していきたいと思います。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

航祐

ポーランド旅行記 [雑記]

ポーランドの電車
寝台列車みたいに向かえ合わせの席がひとつのコンパートメントになってる。写真は一等客車、6席ワンセット。
2等客車は8席つづ。

電車コンパートメント

 

 

 

 

 

 

 

 

行きの電車
飛行機が遅れて、23時45分GDANSK発の最終列車に乗り遅れる。
急遽市内のホテルに泊まる。
受付のおねーちゃんが英語をしゃべれて助かった。
でも、お昼から何も食べてなかったにも関わらず、ここでもレストランはしまってるし、外に行ってもどこも開いてないよって言われる。
空腹に鳴るお腹を抱えて就寝。

翌朝、ビュッフェ形式の朝食をたらふく食べる。
タクシーで駅へ。
渋滞で駅に着いた時、予定していた列車の時間まで残り五分。
チケット売り場へ。
おばちゃん、英語わからんらしい。
知り合いから、出来れば1等客車に乗るようにと言われていたので、昨日乗り損ねた列車のチケットを見せ、指で1をつくり「First class」を連呼するも、通じず。
発車時刻も迫っていたので、しかたなく2等客室に乗る。
指定席のお値段は15ズウォティー(450円くらい)。
2時間程の旅、多分150kmくらいじゃなかろうか。
運賃は52ズウォティー(1560円くらい)。

指定車両(この国ではWAGONというらしい)の自分の席へ。
途中、英語圏の若い兄ちゃんに指定券の読み方を教えてやる。
まぁ、私が聞きたいぐらいだったが。。。

コンパートメントに着くと、人のよさそうなおばあちゃんがひとり。
早速、何事かポーランド語で話しかけてくる。
おいら、涙目。
英語でポーランド語しゃべれんと連呼するも当然通じず途方にくれる。
そこで、空港で買った辞書を片手に単語を並べてみた。
Nie movic po polski.(にぇ もーびっち ぽ ぽるすきぃ)
(↑これ、あとから聞いたところまちがってる事が判明。正しくは動詞と名詞の語尾が変化してちょっと違った形になる。)

ん?
なんか不思議な顔した。
で、微妙に発音を正される。
この時は、単に発音がおかしいと思ってた。
はずかしい。

しばらくして、酒くさーいおっさんがよだれをたらしながら、私とおばちゃんのコンパ(コンパートメントです)に乱入。

いやーな予感。

案の定、絡まれる。
さっき正してもらった言葉を連発するも、おれのポーランド語が通じないのか、それともおっさんの頭が逝ってしまっているのか、おっさんおかまいなく怒鳴りまくってる。
ドイッチェランドがどうとか言ってる気がするが、とにかくわからん。
金をせびりたいのかもしれんが、よだれを撒き散らしながらまくし立てる生き物に慈悲など与えぬわぁ!
ここでおばぁちゃんが自分のかばんからデニッシュを取り出し、悲しそうな目でおっさんに差し出した。
一度は受け取るも、デニッシュより東洋人に首っ丈らしい。

参った。
本当に参った。

頼むから消えてくれと。
捨てられた猫のような目でおばあちゃんの方を見ると、済まなさそうな顔をしてる。
いや、おばぁちゃんのせいじゃないから。

基本は無視しながらも、時たま鋭い視線を投げつけてやったが、どうやら完全に居座りモードの構え。

依然、よだれを垂らしながらまくし立てるおっさんに、おばぁちゃんティッシュを差し出す。そして、無言で首を横に振っている。

おばぁちゃん、あんたなんてやさしいんだ。


その後、車掌がさっそうと現れ、おっさんをデッキに連行。

ちなみに女性の車掌だった。

あまりの毅然とした態度におっさん涙目。

まぁ最初からよだれに加え、涙と鼻水でぐしょぐしょだったが。。。

止まる予定に無かった駅で電車が停車し、おっさんは軍服をきた兄ちゃんたちに文字通り引きずられていった。

その後、警察官たちが乗り込み、おばぁちゃんから事情聴取しさっそうと去っていった。

え?おいらを無視ですか?(笑)

まぁ別に危害を加えられたわけではないので、ポーランド語でいろいろ聞かれるよりはスルーの方が助かったと言えば助かったんですが。

その後、おばぁちゃんが戻ってきてハグしてくれる。

もしかして、あのおっさん、そんなにひどいことを言っていたのかと、カッチーンとくるも、よくよく考えると大阪の環状線ではもっとひどい酔っ払いに遭遇したことなんでたくさんあるし(なぜか違う人に2度も売店で牛乳をご馳走になったことがある)と気持ちを沈める。

その後、またコンパートメントでおばぁちゃんと二人きり。

相変わらず、いろいろ話しかけてくれるが、ちっともわからず。

そして、おばぁちゃん、カバンの中から小さな巾着を取り出し、その中のロザリオをおれにくれようとする。

そんな大事そうなものは受け取れないので、何度の押し返すが本当に済まなそうな顔で何度も俺にそれを渡そうとする。

しかし、やっぱり受け取れないので断るとおばぁちゃんはそれを大事そうに巾着に戻し、再び済まなそうな顔。

おばあちゃん、本当にやさしいんだね。どうもありがとう。

おばぁちゃん

 

 

 

 

 

 


その後、列車は無事、目的地のILAWAに到着。

おばぁちゃん、力一杯ハグしてくれて手を握りながら一生懸命何かを伝えようとしている。

私が電車を降りた後も、窓から身を乗り出して手を振ってくれた。

あの酔っ払いがいなければ、このあばぁちゃんとこんな風に別れを惜しむくらいにはなれなかっただろうと思うと、おっさんのことを簡単に許せた。


ちょっとほっこらした出会いでした。


ふなだいく


HABER33 Reporter 試乗 [ヨットの話題]

先日、HABER660を製造するYAHCT SERVICE社を訪問しました。

造船所はポーランドの内陸部にあり、周辺には小さな湖がたくさんあり、そのほとんどはそれぞれつながっており、キャナルを通じて果てはバルチック海までつながっています。

夕焼け

 

 

 

 

 

 

 



写真はILAWAという町にたくさん点在する湖でとったもの(午後9時過ぎ撮影)

今回の旅の目的は、YACHT SERVICE社が新たに開発したHABER33 Reporterの試乗と、HABER660のオーナーより頂いた艇に関するフィードバックを造船所担当者に届けることにありました。

(適当な日本語が思い当たりませんでしたが、オーナーは「一年目の気づき」と題して、気付いた事またはご自身で工夫された箇所などを写真付きで詳細にレポートしてくださいました。)

ポーランドに訪問するのは、これが初めてでは無いのですが、この季節にこの地を訪れるのはこれが最初でして、ポーランドの自然の美しさに改めて感動を覚えました。


残念ながらモーターボートは専門ではありませんので、HABER33 Reporterの詳細はYACHT SERVICE社ホームページをご覧いただくとして、こちらでは感想のみを述べたいと思います。

(当該ページへの行き方:上記リンクをクリック→ページ右上のイギリス国旗をクリックして英語表記に→ページ上部タブよりHABER Yachts→Motor Yachts→画面中央のHABER33 Reporter画像をクリック)

Reporter 2

 

 

 

 

 

 

 


Reporter 1

 

 

 

 

 

 




平地の多いヨーロッパの国々では、このようなキャナルボートは結構な人気があります。長い休暇を利用しキャナル(水路)を通してのんびりと湖をめぐる事ができるサイズで設計されています。

山が海に迫っていて、川の流れが急な日本では、ちょっと想像もつかないような遊び方ですね。

このHABER33 Reporterの船内は、他のHABERシリーズのコンセプトと同じく、天井まで2mもあり、また窓の総面積も大きく、船内は明るくそしてとても広々としています。

このモーターヨットの設計者であるYACHT SERVICE社代表のJanusz Konkol(ヤヌッシュ・コンコール)氏は、HABERシリーズの特徴としてこの広々と明るい船内というコンセプトをとても重要と考えているようです。

その点において、HABER33 Reporterは限りなく理想に近い物に仕上がったかと思います。

その一例として、冒頭の夕焼けの中でもキャビン内で作業が出来るくらいでした。


マヌーバビリティー(機動性、旋回性)やその他のモーターボートに求められる性能については、あまり詳しくありませんので断言できませんが、試乗した感じでは予想に反して小さい旋回半径と制動性を持っているように感じました。また、全速での旋回中も艇の姿勢は不自然な感じではなく安定しているように感じました。

ハルの形状ですが、ボトムに船体を縦断するロングキールがあり、排水量型に見えるのですが、初期復元力は高いようです。

実際、4人の大人(日本人1名[メタボ]、ポーランド人1名、オランダ人1名、ドイツ人1名とかなり重量級と思われる)が片舷に集まっても、ほとんどヒールを感じられませんでした。


現在2号艇が進水したところですが、他のHABERシリーズと同様、これからロットが増えるにつれてどんどん良いボートになっていくことを期待します。


ふなだいく


艇速の違いによる接水面積と抵抗の関係の変化について [ヨットデザイン]

久々に記事を投稿しますふなだいくです。


レーサーの皆さんは、愛艇のボートスピードについてとても敏感であると思いますが、艇速アップの為に色々努力されておられるかと思います。

しかし、実際レースとなれば船体自体をどうこうする訳にはいきませんから、その時与えられたものの範囲で艇速アップを心がける訳です。
ハルが受ける抵抗を減らすというのは、レーサーにとって大きな課題かと思います。

レース経験のある方は誰もが通った道かと思いますが、艇の姿勢をかえたりと色々試されたと思います。
私自身も下級生時代は先輩に言われるがまま、前に乗ったり後に乗ったり、ヒールさせたりさせなかったりしておりました。
上級生になってからも、今ひとつ理屈は理解していませんでしたが、ボートスピードがあがる状態がある事は何となく感じていました。例えば微風時全般や中風以下の平水面でのクローズホールド(スナイプで言うとクルーがオンデッキになるぐらいでしょうか。だたしこれは私の場合つまり重量級ですので、軽いペアの場合はもう少し風が強い状態まで当てはまるかもしれません。)で、艇体を少しバウダウンのトリム(船体の前後の浮き具合)にして、接水面積を減らすなど。

当時は感覚でスピードが増えた減ったと感じておりましたが、この世界に入ってヨットについて勉強するうちに、色々と分ってきました。

今日はこのボートスピードの遅い時に接水面積を減らす効果についてお話したいと思います。


まずヨットがセーリング中に受ける抵抗は色々ありますが、ハルが水流からうける抵抗は大きく分けて二つあります。(正確にはもう少し種類がありますが)造波抵抗と摩擦抵抗です。

前者はヨットが水の上を航行する時に船首と船尾から下の図のように、上から見ると三角形の形をした波ができる時に発生する抵抗です。

造波抵抗














C.A. Marchaj

Sailing Theory and Practiceより引用しました。クリックで拡大します。


この抵抗は船体の形状に深く依存します。今回の本題からは少しずれるので、この造波抵抗は船体水線長の平方根が一秒当たりに艇が進む距離(艇速)に等しくなる辺りから急激に増加するという事だけ心に留めておいて下さい。

摩擦抵抗の方ですが、これは読んで字の如く、船体表面と水流が接する部分に発生する摩擦による抵抗です。
こちらは接水面積に比例します。つまりこれを減らす事は艇速アップに直結する訳です。
下の図は直立状態でのユNew York 32ユというヨットの抵抗を縦軸に、艇速を横軸に表したものです。


抵抗割合












C.A. Marchaj
Sailing Theory and Practiceより引用しました。
クリックで拡大します。



引用した本が結構な古典ですので、単位がメーター法ではなくインペリアルですが、同様の計算式が適応出来ますのでご容赦を。

実線がトータルの抵抗(Total Resist.)を示し、点線が摩擦抵抗(Friction)の分だけを示しています。そしてその差が造波抵抗(Wave making)になります。

さて、この図の一番下にユSpeed length ratioユと軸がありますが、これが先程造波抵抗のところでお話しした船体水線長の平方根と艇速の割合を示しています。

この割合が1.0の辺りから急激に造波抵抗が増加しており、それによって全体の抵抗に占める摩擦抵抗の割合が減少しているのがお分かりかと思います。

つまり、このポイント以下の艇速では接水面積を減らす事はとても効果的に全体の抵抗を減らす事になる訳です。

逆 にもっと艇速の早い領域では、節水面積を減らす事は艇速アップに対しあまり効果がなく、それ以外に意識を注ぐべき事柄、例えばディンギーやレーサーヨット であれば逆にスタン近辺の平らなハル形状によって、プレーニング状態にもっていくとか、クローズホールドであれば波によって受ける船体のピッチングを減ら すとかでしょうか。


次回セーリングにいかれる際は、接水面積と艇速の関係に少しだけ意識を注いで乗ってみて下さい。このような理屈を意識しながらセーリングすると、もしかしたら艇速アップにつながるかもしれませんよ。


ふなだいく


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